0. 序文
最初にISO9001についての概略を書こうと思う。
ISOはInternational Organization for Standardizationの頭文字を取り国際標準化機構と訳される。
(頭文字をとったのではIOSとなりますが・・・)
とにかくISOは世界中の優秀な経営者や学者が こうしたら良い経営ができる、つまり現代企業経営の手本として、こうしたらよいですよ を定めたものです。
具体的に言うと目標を立て その目標を必ず実現できるようにしたもの(目標必達システム)が良い経営と言っているのです。
そして、目標を達成する方法はとしてPDCAを回すことを求めており、その全体像を図1に示します。(( )内の数字は記載されている箇条番号を示す)
参考までにPDCAとは「Plan・Do・Check・Action」のそれぞれの頭文字を並べた言葉でPlan(計画)を立てDo(実行)し、その結果をCheck(評価)すると何らかの不都合があるのでそのAction(対策・改善)を行う。
これをらせん階段を昇るよう繰り返し行い『より大きな目標を達成しよう』としたものです。
具体的には
箇条1でISO9001は、お客様の要求を達成することができる証明をする必要があるならば製造業でもサービス業でも官公庁でも適用が可能ということ
箇条2でISO9001の補足説明にはISO9000が必要ということ
箇条3でISO9000は用語の定義であると宣言
この箇条3までは、ISO9001の説明で会社間によっても相違がないためマニュアルは省略などされることが多いです。
箇条4(PDCAの全体)で会社の置かれている状況把握を行い業務を一単位としてPDCAを回しながら品質改善していく仕組みづくり(品質マネジメントシステム)全体とそれに関わる文章を記載
箇条5(PDCAの中心)で経営層の仕事 つまり経営層は箇条4で定めた問題点とお客さんを大事にするということを念頭において会社運営の向かうべき方向性(大目標の設定)を定め、それを実行するため従業員に責任と権限を与える
箇条6(PDCAのP)で問題点の欠点と利点(リスクと機会)を定めそれをどのように対応していくかの計画(小目標の設定)を行い
箇条7(PDCAのD)で目標達成に必要な資源(人や設備)を整えていき
箇条8(PDCAのD)でいよいよ実際の製造業務に必要な事柄(仕事を受ける際の留意点・外注・購買管理・製造において必要な事そして不良品ができた場合の対応)などの実行部分のルール作りを定め
箇条9(PDCAのC)で実行した結果を 製品に関しての測定 品質マネジメントシステム運営状況の確認(内部監査)と内部監査の結果について確認し
箇条10(PDCAのA)で箇条9の結果に基づき製品不具合の対応 品質マネジメントシステムの改良について記載している
ところで、ISO9001は目標達成と書きましたが、ここで簡単に目的 目標 方針 戦略 戦術について私の見解を記載します。(間違っていたらごめんなさい)
まず大目標というべき目的 具体的にはXX大学合格 という目的があるとします。
次にその目的を達成すべき方向性(方法) 例えば1日8時間勉強する という方針が挙げられます。
しかし、人間はいきなり大きな目的を達成するとかは不可能で目的を達成すべき多くの関所を作りそれを順に達成していきます。
これを目標と表現し先の例でいえば、次の模試では偏差値55などがあるのです。
また誤解を恐れずに言えば、この目的(大目標)を達成する方法を戦略、目標を達成する方法を戦術と言い、戦略と戦術を一緒くたにしない方が目的達成は容易になります。
次に、ISO9001は品質を改善していく仕組み(品質マネジメントシステム)をつくるということですが、仕組みによく似た言葉 仕掛け しつけについても簡単に記入します。
(参考までに品質マネジメントシステムとはISO9001の要求事項と自社が必要と考えたことをあわせたもの)
- 仕組み とは 手順や見本などを作って誰がやっても同じようにできるようにすること
- 仕掛け とは 色分け等をして意識しなくても出来るようにすること
- しつけ とは しつけができていないという言葉があるように『しつけ』とは規則を守っていること
です。
とはいうものの、ISO9001の原文は英語でしかも先に書いたように官公庁でもサービス業でも取得できるよう言葉を曖昧にしているため意味が分かりにくいです。
具体的には会社と書けばいいのに組織と書いて、役所でも、病院でも適用できるようにしているのです。
また、どのような業種でも使用できるようにしたため、ISO9001は100以上の要求事項があると言われていますが、その要求項目は当然のものばかりです。
しかしその当然のものばかりの要求事項が先に述べたように難解で多くの解釈が生じています。(考えてみれば法律でも絶対の解釈がないから専門家の弁護士がおり裁判所があるわけで)
どのような解釈が正しいのか考えるのは専門家(外部審査員)に任せて、私なりに解釈したものを下記に書いていきISO9001 2015の理解の手助けになればと思います。
最後に、下記の文章はあくまで私の解釈を書いたもので、その解釈を読んだ後 ISO9001の翻訳された原文を読んで理解を深めればと思います。
また読む際は、それぞれの箇条に入る前に図1を見た方が理解が容易になるのではと思います。
図1 ISO全体像