プラスチック
プラスチックの物性
はじめに
ある部品を作る際、どのプラスチックを使用したらよいか判断をしなければならないことがあります。
もし、仮にこの部品が安さを求めているのならば安いプラスチックを使用すればよいでしょうが、強さを求めているならばどうしたらよいのでしょうか?
強さも、数値で示す必要があり、かつ、その数値がどのような方法で測定されたか記載されていれば判断が容易です。(測定方法が必要な理由は、もし、仮に測定方法を示さなければ、測定物を大きくすればするほど強い数値が示され、数値に意味がなくなるからです。)
そこで測定方法を決める必要があり、代表的なものに日本が作った日本工業規格(JIS)や国際標準化機構(ISO)があります。
プラスチックの物性
前述しましたようにプラスチックの性質を示す一つに「強さ」がありますが、他にはどのようなものがあるのか紹介していきます。
1. 物理的性質
測定物の識別情報を変更することなく得られる性質
比重 | 固体 液体の場合、同体積において水と比べて重いかを示す。値が1ならば水と同じ それより大きいならば水より重い(沈む) |
2. プラスチックの物性
測定物を様々な条件下(薬品や環境)においた際の変化に対する性質
耐候性 | 野外で使用された場合の変形 変色等の変化の起きにくさ |
耐薬品性 | 様々な薬品に対して耐性があるかを示す |
3. 機械的性質
測定物に力をかけた際の変化に対する性質
硬さ | 測定物の一部に力を加えることによって得られるもの 具体的には 表面の傷つきやすさ等を示す 値が大きいと硬い 小さいと軟からい 例 鉛筆硬度 |
こわさ | 測定物を引張るなど測定物全体をこわれない程度に力を加えて得らるもの 具体的には形状保持能力を示す 値が大きいと変形しにくい 固い 小さいと柔らかい 例 弾性率 |
強さ | 測定物を引張るなど測定物全体をこわれるまで力を加えて得られるもの 具体的には 壊れない使用可能な範囲を示す 値が大きいと強い 小さいと弱い 例 引張強度 |
伸び | 測定物を引張り、最大でどの程度まで伸びるかを示す 具体的には 壊れない使用可能な伸びを示す 値が起きいとと粘い 小さいなら脆い 例 歪 |
4. 熱的性質
熱を加えた変化に対する性質
融点 | 測定物が溶け出す温度 |
熱膨張係数 | 1℃あたりの温度変化によって寸法がどの程度変化するか示す 他の材質と組み合わせて使用する際の目安 |
荷重たわみ温度 | ある力を受けた状態で測定物が変形をおこす温度 |
5. 測定方法
電気を加えた際の変化に対する性質
体積抵抗率 | 電流の流れにくさを示す |
3. 測定方法
ここでは一例として強度に関してどのように測定するか、ISO527を元に説明する。
測定物を図1のように切り抜き、(試験片という) 図2のような引張試験機のつかみ具にセットする。(つかみ具は万力のようなもので試験片が外れないように締め付けている)
その後、一定の速度で試験片が切れるまで引張っていく。その際、つかみ具の片方にはロードセル(量りのようなもの つかみ具にどれほどの力がかかったか測定)がついており、図3のようにx軸に試験片の伸び(歪)をy軸にロードセルが測定した値をグラフ化していく。
それぞれの測定値は図3の通り。
【図1】
【図2】
【図3】