プラスチックの種類

 

プラスチックの種類

 
 

1. プラスチックの種類

一言にプラスチックと言っても、その中には硬いものや軟らかいもの、軽いものや重たいもの等 様々な種類があります。この章では、どのようなプラスチックがあるか、説明していきます。

2. プラスチックの分類

先に書いたようにプラスチックには多くの種類があり、その一つ一つに様々な性質があります。その一つ一つを把握するよりも ある程度分類し概略をつかむ方が把握しやすいです。分類には

ⅰ熱が加わるととどうなるか
ⅱ熱を取り除くとどうなるか
ⅲ熱に対して どうなのか

等があります。

3. 熱が加わるとどうなるか 熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂

熱が加わると柔らかくなるもの(熱可塑性樹脂)と固まるもの(熱硬化性樹脂)に分ける事が出来ます。もう少し詳しく説明すると

ⅰバターのように熱が加わると軟らかくなり冷えると硬くなる。硬くなった後にも熱を加えると再び軟らかくなる熱可塑性樹脂 と
ⅱ生卵のように熱が加わると硬くなり、硬くなった後は熱を加えても再び柔らかくならない熱硬化性樹脂

に分ける事ができる ということです。

これは、「プラスチックとは」に書いたようにプラスチックの分子がひも状のため生じます。まず、熱可塑性樹脂ですが、この固体のなり方はお互いの分子がからまりあうためなるので、熱を加えるとほどけ、また元に戻ります。(図1参考)
しかし、熱硬化性樹脂は、化学反応をおこしお互いの分子に橋がかかったようになり固まります。そのため、固まると橋が出来ているため、再び柔らかくなることが出来ないのです。(図2参考 また、このことを架橋構造といいます。)
従って、熱硬化性樹脂は”熱に強い”という性質を持ち やかんの取っ手などに使用されます。

4. 熱を取り除くとどうなるか 結晶性樹脂と非結晶性樹脂

プラスチックの分子が冷え固まる際、ひも状の分子が規則正しく並んだもの(結晶)を作りながら固まるもの(結晶性樹脂)と、ひもに様々な障害(例えばプラスチックとはの図2にある黄色い球の大きさが不均等な場合など)があるため、分子が並べずに(結晶を作れずに)固まるもの(非結晶性樹脂または非晶性樹脂)に分かれます。(図3参考)

結晶があることによって非晶と比べ

ⅰ透明ではない
結晶部と非晶部の屈折率が違うため

ⅱ耐薬品性に強い
プラスチックの表面を強固な結晶部で覆っているため

ⅲ収縮率が大きい
結晶部は非晶部と比べ同じ体積当たりに多くの分子が存在するための性質が現れます。

5. 熱に対して どうなのか 汎用プラスチックとエンジニアリングプラスチック スーパーエンジニアリングプラスチック

ひも状であるプラスチックの分子を太くすればするほど、熱による振動がしにくくなります。つまり 熱に対して強くなるのです。今から書く分類には正式な定義はなく、ただ、こういう傾向が出やすいです というだけですが プラスチックの分類の理解の一助になると思います。
さて、プラスチックの分子の形は プラスチックとは の図2にあるような形をしており、緑部分を 主鎖 黄色部分を 側鎖 といいます。
このひもを構成する主鎖が

ⅰ炭素のみの場合比較的に熱に弱い(熱変形温度100度未満) 汎用樹脂
ⅱ炭素以外の元素が入ると 熱に強い(熱変形温度100度以上) エンジニアリングプラスチック(機能性樹脂 機能が強化された樹脂 エンプラ)
ⅲ炭素以外にベンゼンが入ると 熱に大変強い(熱変形温度150度以上) スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)になります。

6. 以上のことをまとめると以下の表が出来ます。

記号・品名 化学式 特徴 成形に関して 用途
PE
ポリエチレン
1. 最も簡単な構造式でn=1 メタンガス 12ぐらいで 灯油 50ぐらいでワックス 1000以上でポリエチレン
2. 密度の違いによってLDE(低密度ポリエチレン=軟質)HDE(高密度ポリエチレン=硬質)に分かれる
3. 耐水性 耐寒性に優れるが耐候性はない
4. 2次加工(接着等)は難しい
1. 吸水性がない為乾燥の必要がない
2. 耐熱分解性に優れる為 成形機の洗浄剤としても使用出来る
3. 圧力によって流動性が良くなる
4. 変形 ひけがでやすい
食品タッパーの蓋
PP
ポリプロピレン
1. 「ピーピー」とも呼ばれる
2. PEに物性は似ており若干 高機能
3. 一般のプラスチックの中で最も軽く 表面光沢もよい
4. ヒンジ(繰返し折り曲げ可)がよいが耐寒性は良くない
1. 吸水性がない為乾燥の必要がない
2. 圧力によって流動性が良くなる
3. 変形 ひけがでやすい
食品タッパー本体
PVC
ポリ塩化ビニール
1. 安価で全般的物性(強度 難燃性 耐候性 耐薬品性)に優れる
2. 透明である
3. 熱による分解によって塩化水素が発生する
4. 軟質と硬質がある
1. 流動性が悪く温度管理を行わないと熱分解によって焼けや金型が腐食する
2. 硬質PVCの場合、専用のスクリュを用いた方が良い
パイプ
PVC
PS
ポリスチレン
1. 材料が安価で透明である
2. 衝撃に弱く、耐薬品性に劣る
1. 成形性がとても良く射出成形機のカタログ仕様にある射出容量、可塑化能力の目安にされる事が多い
2. 圧力によっても流動性が良くなる
3. 割れに注意する
CDのケース
ABS
アクリロニトリル ブタジエン スチレン
1. 「エービーエス」とも呼ばれる
2. アクリロニトリルで耐熱性 剛性をブタジエンで耐衝撃性をスチレンで成形性 絶縁性を良好とした
3. 2次加工(塗装 メッキ 接着等)も良い
4. ブタジエンがある為、不透明である
1. ブタジエンが熱劣化し易い為、多くの再生材は入れない方が良い
2. 吸湿性が有り乾燥が必要
3. 表面状態を良くするには 温度高め 射出速度遅めが良い
高級感のあるケース
PA
ポリアミド

1. 「ナイロン」とも呼ばれる
2. 耐摩耗性 耐衝撃性に優れる
3. 吸湿性が高く寸法安定性が悪い
4. 左記 化学式にあるようにXが5の時PA6 Xが11の時PA12 Yが6 Zが4の時PA66等の種類がある

PA6  最も代表的なもの(融点220度)
PA66 融点が260度と高い為、高温環境下で使用する。PA6より機械的強度が若干強い為、産業用に好まれる
PA12 融点が170度低いが柔軟性に優れる為チューブ等に使用

1. 温度によって流動性が大きく変わり、バリが出やすい
2. 樹脂がスクリュをスリップする為、シリンダ後部の温度を下げる
3. 残量は多めの方が良いことが多い
軸受
POM
ポリオキシメチレン
1. 「ポリアセタール」「ジュラコン」とも呼ばれる
2. 耐摩耗性 強度に優れる
3. PAに比べ寸法安定性は良いが、耐衝撃性に劣る
4. 耐候性、接着性が悪い
1. 熱分解し易く、ガスが発生する
2. 「しわ」が発生し易く、対策として射出速度の変更が効果がある
3. 金型温度による寸法変化がある
歯車
PMMA
ポリメタクリル酸メチル樹脂
1. 「プラスチックの女王」「メタクリル樹脂」「アクリル樹脂」とも呼ばれる。
2. 透明性 耐候性に優れているが、耐衝撃性 摩擦に弱い
1. 温度によって流動性は変わるが、基本的には良くない。
2. 割れ易い為、急冷せず、40~90℃の金型温度で成形する。(金型温度を上げると表面状態は良くなる)
レンズ
PC
ポリカーボネート
1. 「プラスチックの王様」とも呼ばれる
2. 透明性及び耐衝撃性に優れている
3. 耐薬品性は劣る
1. 温度によって流動性は変わるが、基本的には良くない。
2. 金型温度は80~120℃ので成形する。
3. 収縮には方向性がない
防護壁
PBT
ポリブチレン
テレフタレート
1. 強靭で耐熱性、寸法安定性に優れ成形性も良い
2. 加水分解によって劣化する
3. ガラス繊維 等による補強効果が高い
1. 温度によって流動性は大きく変わる
2. 熱劣化し易い
3. ガスが発生しやすい
4. 加水分解し易い為、十分 乾燥する
電装部品
PET
ポリエチレン
テレフタレート
1. 透明性及び光沢が良い 1. 金型温度によって物性は変化する
2. 異物混入すると結晶し易くなり、白化する
ペットボトル
PPS
ポニフェニレン
スルフィド
1. 極めて高い耐熱性と剛性 耐薬品性に優れている 1. 流動性が良すぎる為、バリが出やすい 電装部品